SS Cyg 2013-15年期の変光パターン
矮新星の代表として知られている はくちょう座SS星(SS Cyg)について2013年10月から2015年3月にかけて
B, V, Rc, Icの4色測光観測を行いました。観測結果からSS Cygの2種類の変光パターンをみつけました。
このページの内容は2019年中京大学において開催された連星系・変光星研究会で発表したものの一部です。
スライド1

SS Cygは数十日の期間で増減光を繰り返す矮新星で、研究しつくされているとも言われていました。
比較的明るいので精度高く観測することができます。船穂天文台では口径20cmと28cmの望遠鏡を使って多色測光を行いました。
スライド2

今期の観測は2013年10月から2015年3月までの約530日間観測を行い、10回のアウトバーストを捉えました。
SS Cygは赤緯が+43度35分と高いので、はくちょう座は夏の星座とはいいながら、クリスマスの頃を境に
夕方の西空での観測を終えて、それ以降は明け方の東の空で観測を続けることができました。
結果的にはほとんど1年間を通じて観測することができました。
スライド3

4枚目のスライドでは、今期の私の観測とAAVSOのBVRIの全測光観測者のデータとを比較してみました。
グラフの横軸を合わせて比較してみると、AAVSOのデータ(下のグラフ)よりも密な観測ができていることが分かりました。
スライド4

今期の10個のアウトバーストについて、アウトバーストのはじまりを起点0にして、
アウトバーストの前の静穏期からアウトバースト期間の終わりまでのデータを色分けしてプロットしてみました。
グラフを見るとアウトバースト期間の変光パターンが大きく2つに分かれることが分かりました。
10個のアウトバーストに1-10の番号を付けてみると奇数番号と偶数番号でパターンが異なります。
グラフでは青系の色でプロットした奇数番号のアウトバーストは急激に増光してピークのあとも急速に減光していきます。
アウトバースト期間は約12日になります。
赤系の色でプロットした偶数番号のアウトバーストは、同じように急激に増光しますがピーク後も明るい状態が
しばらく続きながらゆるやかに減光し、ピークから2週間ほど経ったあとは急速に減光していきます。
アウトバースト期間は約20日になります。
2つのパターンでアウトバーストのピークは0.3-0.4等ほど異なり、偶数番のピークが明るくなっています。
アウトバーストのときのライトカーブは静穏状態のレベルから上に飛び出した山形になっていますが、
この山の部分の面積がアウトバーストで放出したエネルギーの大きさを表します。正式には計算していませんが、
面積の違いは2倍以上のように見えます。
奇数番と偶数でパターンが違うということは、2つの異なるパターンを交互に繰り返していることになります。
スライド5

6枚目のスライドでは観測開始から約90日間の多色測光のグラフと、色指数のグラフを並べてみました。
上のグラフで青色でプロットしたBフィルターでの(青い光での)観測結果は、ピークの頃に逆転して青い光が強くなっています。
下側の色指数のグラフでもアウトバーストのピーク以降で短波長側が強くなっています。
スライド6

7枚目のスライドでは二色図上に静穏状態とアウトバーストのピークを示しました。
2014年5月17日と10月24日にはアウトバーストがはじまった増光期間に短波長側が明るくなっていく様子を捉えていました。
スライド7

今期の観測から4年後に再びこの星の連続観測をおこなうことになりました。
2013−15年期にはっきりとした2つのアウトバーストの変光パターンがあったので、
2019年からの観測においてもアウトバースト時の変光パターンについて調べてみました。
研究発表の時点までにアウトバーストは4回しかとらえられませんでした。
グラフでは2013-15年期を青でプロットし、2019年期の4つの変更パターンをabcdで示しました。
これらa-dは毎回変光パターンが異なり、2013-15年期のような規則性は見られませんでした。
スライド8

スライド9では2013-15年期の10回のアウトバーストと、2019年からの4回のアウトバーストの
パターンについて比較をまとめました。2019年期の観測はその後大きな変化を伴い貴重な観測になりました。
そのことはSS ygの第2段でまとめてみます。
スライド9

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