新星の分光確認観測


 船穂天文台の分光観測は2011年に始めました。
その頃は小学校の校長職で最終勤務校に赴任した頃ころでした。
矮新星の測光観測で大変お世話になっていた岡山理科大学の
田邊健滋先生にアマチュアにできる簡易な分光システムとして
SBIG社のDSS-7を紹介していただきました。
DSS-7とあわせてST-402MEを代行輸入し、ドーム内に設置している
CelestronC14(35.5cm)に取り付けました。
 撮影や整約については当時の田邊研究室に所属していた 学生の今村さんが自作のマニュアルをもとに詳しく教えてくださいました。
 比較光源はヘリウムランプ、フラットの取得にはドーム内壁の白色板と
筒先を覆う乳白色板を使いました。


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新星候補天体  PNV J17184504-2454221

2017/11/10,11に中村祐二さん(三重)、金子静夫さん(静岡)発見。
船穂天文台にて11/12夕方分光観測に成功。その時の地上高度はわずか6度。
美星101ML、VSOLJ-ML等に観測報告をしたところ
BAO綾仁さん、OAO前原さんから次のようなアドバイスをいただきました。
 「まだ世界で確認されていない貴重な観測」
 「測定して正式報告を」
 「日本の方の発見なので確認したい」
 これらのメールに緊迫感を感じすぐに測定の準備にかかりました。
 初めての測定だったため、FKO藤井さんに相談のメールを出すと早朝にもかかわらず
折り返し電話をくださいました。測定方法についてアドバイスをいただき、
綾仁さん、前原さんのご協力をいただいて無事報告することができました。
     (藤井さん 玉島高校の先輩 分光の師匠)

その後チリの4m望遠鏡でも11/13に確認観測されたようです。

H-alpha輝線をとらえたグラフからの測定値
H-alpha(656.3nm)についてBeSpecで測定
半値幅53Å  膨張速度2400km/s   等価幅77Å



スライド2


新星候補天体  PNV J17561375-2942546

 愛知県の山本稔さんが2020/01/30、茨城県の櫻井幸御夫さんが01/31に、
いて座に発見した新星候補天体のスペクトルを2020年02月01日撮ることができました
翌02日 分光確認観測の結果をFacebookに投稿したところ、美星天文台の綾仁台長から
コメントがはいりました。「まだ確認観測の報告がないので世界初だと思います。(要約)」
前回と同様に処理して、綾仁さんを通して報告することができました。



スライド2


この星の確認観測には後日談があり、思い出深い星になりました。

スライド3




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